「春の火災予防運動」も終わり、ようやく春らしい風が少しずつ感じられるようになりましたが、このところ全国各地で焼死者が複数発生した住宅火災が報じられています。特に高齢者の焼死者が目立っており、高齢化社会の現実を切実に感じるところです。
ところで、消防活動に際して最も大切なことは十分な消火用水の確保です。江戸時代には屋根の上や軒先、街角などに雨水を溜めた「天水桶」(てんすいおけ)が消火用水として準備されていました。現在では、消防隊が使用する消防水利として「消火栓」や「防火水槽」などが街中に設置され、通常の火災や震災時の火災の備えとされています。
「消火栓」は下の写真のとおり、道路上に設置された小型の円形マンホール状になっています。お気付きの方も多いかと思いますが、マンホールの円周部分には緊急時に目立つよう黄色のペイントが施されています。
これは地下に埋設されている水道管につながっているもので、消防隊が鉄蓋を開け消防車に結合して消火活動に使用するものです。消火栓はどちらの建物からでも概ね140m以内の距離となるように配置されていますので、一度ご自宅の周辺を確認してみてください。
また、公園、学校、マンションなど敷地の広い場所には、「防火水槽」が地中に設置されています。これには水の容量が100㎥(トン)、40㎥(トン)など、いくつかの種類がありますが、「防火水槽」も災害時の消火用水として有効な施設です。特に大地震の際、水道管が破損して消火栓が使用できない事態となった時でも活用できることから、かつて関東大震災を経験した東京都としては「防火水槽」の設置促進を図ってきているところです。ちなみに、『七国西公園』には容量40㎥(トン)の「防火水槽」が埋設されて、目印の標識も立っています(上写真左)。
ここで、七国四丁目の皆さんにお願いしたいことは、「消火栓」や「防火水槽」などの消防水利が、火災などの緊急時にスムーズに使用できるよう注意をしていただきたいということです。「消火栓」や「防火水槽」のマンホールの上や近くに自動車が停まっていたりしますと、その車両を移動させないと消防車両が吸水できない事態となってしまいます。その結果、放水が遅れ火災が拡大してしまうおそれもあるのです。道路交通法45条には消防水利から5m以内が「駐車禁止場所」と定められています。営業車や来客の車両がうっかり「消火栓」などの上や近くに駐車しているとも限りません。あらためて、お近くの消防水利の位置を確認していただき、その付近には車両を駐車させない、そして、駐車車両があった場合には移動を促すなど、皆さんに普段から火災や地震とともに消防水利にも関心をもっていただければ、一層の地域の安全につながるものと思います。
(自主防災会アドバイザー 秋山 惠)