コラム

No.15 自主防災組織と地震対策について (2016.5.27)

 熊本県を中心として、九州のほぼ全域に大きな被害を残した二度の震度7の地震から早や1ヶ月半が過ぎようとしています。これまで、被災地では49人の犠牲者と1人の行方不明者が発生するとともに、多くの方々が住む家を失い、長期間にわたる不自由なテントや避難所生活を強いられています。

 このような状況下で、国や自治体の支援活動が行われてきましたが、まだまだ被災地域全体にまで手が届かないのが現状です。地震はいつ、どこで、どのような規模で発生するのか、長年の研究を続ける地震学者でもはっきりと予測できるものではありません。したがって、地震大国日本に住む私たちにとっては、普段からの備えと地域の住民の皆さん相互の協力によって、公的な支援が届くまで自ら生き抜いて行く術をもつことが求められるのです。

 そこで、各ご家庭では家族の人数や年齢構成に応じた食料品をはじめ、生活必需品、簡易トイレなど、公的な支援が届くと思われる被災後3日から1週間程度、自力で生活ができる品々を準備しておくことがとても大切であることを、あらためてご理解いただきたいと思います。

 

 ところで、七国4丁目では「自主防災会」が結成されています。これは「自主防災組織」と呼ばれるもので、昭和34年(1959年)9月26日、和歌山県潮岬付近に上陸し名古屋市を中心に大きな被害(死者・行方不明者約5,000人)をもたらした「伊勢湾台風」を契機として、昭和36年(1961年)11月に制定された「災害対策基本法」を根拠とする組織です。現在、全国各地では約80%の結成率となっています。この組織の主な目的は震災、洪水など、大規模災害が発生した場合、住民の力で可能な範囲の初動対応や日頃から地域住民の防災意識の啓発、向上などに取り組むことです。このような自主防災組織の意義を、住民の皆さんにはご理解いただき、いざという時の地域内での支援活動(共助)がうまく機能するよう、是非ご協力をいただきたいと思っています。


 「七国四丁目自主防災会」ではこれまで、非常食をはじめ、照明器具、消火用具、発電用小型エンジンなどを装備してきているところですが、大規模災害の発生時には住民の皆さん全員へ対応できるものではありません。そこで大切なことは、各ご家庭において普段の生活状況、家族構成(高齢者や乳幼児の有無など)に応じ、食糧など最低限の災害対応用品の備蓄を心がけていただきたいと思います。日頃からの地道な備えこそが、いざという時に真価を発揮することになるのです。

 

 なお、一般的に基本的な備蓄品は次のような品々が考えられますが、先に東京都から全家庭に配布された『東京防災』(平成27年9月1日発行)の84頁以下にも詳細に記されていますので確認いただき、各ご家庭の生活実態に合った準備を進めることが何よりも重要だと思います。

 

(備蓄品の一例)
 1 身を守るため

  • ヘルメット
  • 手袋
  • 救急薬品・三角布
  • ロープ
  • 家族の情報シート(氏名・年齢・血液型など)


 2 情報を得る・伝えるため

  • ラジオ
  • 携帯電話(手動、ソーラーの充電器も)
  • ホイッスル(警笛)


 3 生活維持のため

  • テント
  • 簡易トイレ
  • 寝袋
  • ブルーシート
  • カセットコンロ及びボンベ
  • 懐中電灯、電池
  • ゴミ袋、ポリタンク
  • ティッシュ・ペーパー、トイレット・ペーパー
  • ロウソク
  • ライター
  • タオル
  • 下着類
  • 雨具
  • 工具類
  • 常備薬

   (浴槽での水の溜め置きも初期消火やトイレ用に役立ちます。)

 4 生命維持のため

  • 非常食(レトルト食品・缶詰類など)
  • 飲料水

(近年の非常食には、5年以上保存可能で栄養バランスも考えられたものが市販されています。また、乳幼児がいるご家庭では、子供用の日用品、ミルク・食品の備蓄も必要です。

 

※地域の被災状況によっては、全ての住民が自治体指定の避難所に避難することなく、平素からの備蓄品を活用した「自宅避難」といったことも可能となりますので、公的機関や他者に頼るばかりではなく、ご家庭の日頃の生活を踏まえた主体的な準備(自助)を心がけることこそが大切だと思います。

 

自主防災会アドバイザー 秋山 惠)