コラム

No.24 春の火災予防運動に当たって-住宅用火災警報器の点検を- (2018.2.21)

 3月1日(木)から7日(水)までの1週間、全国で「春の火災予防運動」が行われます。東京消防庁では平成29年度の防火標語「火の用心 一人一人の心掛け」により、都民に日頃からの火災予防を訴えてきましたが、昨年1年間に東京消防庁管内で発生した火災は4,205件で、前年(平成28年)に比較して223件の増加となりました。これらの火災のうち1,589件は住宅火災で全火災の約40%を占めており、一般住宅からの出火が相変わらず多いことをご理解いただけると思います。また、本年に入ってから2月20日現在で、火災による死者が28人、傷者は162人となっており、昨年同期に比較して火災による犠牲者が急増しています。これから特に空気が乾燥しやすい季節を迎えることから、皆さんのご家庭でも火の取扱いには家族ぐるみで気を配ってもらいたいと思います。


 ちなみに、住宅火災の出火原因では台所の「コンロ」がトップとなっています。これは調理中に火をつけたままその場を離れ、電話の対応や他の家事に気が行ってしまい、油鍋の過熱などにより火災に至ったことがほとんどのようです。このようなうっかりミスが大きな火災被害を招いてしまいますので、台所などの火から離れる場合には必ず火を止める行動パターンを身につけることが大切です。

 

 ところで、皆さんのご自宅には「住宅用火災警報器」(以下「住警器」といいます。)が居室や台所の天井に取り付けられていると思います。これは東京消防庁が平成16年10月1日から火災予防条例に基づき、全国に先駆けて新築・改築住宅への住警器設置を義務付けたもので、その後、改正消防法をもって全国的にも義務化が図られました。七国四丁目内の各住宅はほとんどが新築ということもあって、建築当初から設置されている建物が大半だと思います。しかしながら、入居して10年余りが経過した住宅では、電池切れ耐用年数の経過などにより、火災時に作動しないといった機能低下を起こしていることも考えられます。火災の際に確実に作動しなければ全く意味をなさない器具ですので、特に入居から時間が経過したご家庭では作動試験をしてみては如何でしょうか。また、入居間もないお宅でも定期的にテストすることが大切なことだと思います。


 作動試験の方法につきましては、器具の型式によって若干の違いはありますが、テストボタンを押すか、テスト用の紐を引くことで警報音や警報灯の機能をチェックすることができますので、取扱説明書を確認のうえ試してみてください。かつて、アメリカで開催された消防関係者の国際会議に出席した際、会場のスクリーンに「住警器、電池切れに注意しましょう」とのテロップが流れていました。アメリカの住宅では日本よりもかなり早い時期から住警器の設置促進が図られてきましたが、設置後の時間経過による機能不全を防ぐためのメンテナンスの重要性を訴えていたものです。住警器は火災の早期発見に極めて有効な器具ですので、皆さんのご家庭においても定期的にチェックをして、正常に機能しないものや取扱説明書に記載された耐用年数を過ぎたものは速やかに交換をするなど、万一の時には確実に作動するよう日頃から適切に管理していただきたいものです。

 

七国四丁目自主防災会・アドバイザー 秋山 惠(東京消防庁OB・消防大学校客員教授)

(参考) 住警器設置義務化の経緯
 東京都・火災予防条例 平成16年10月1日~ 新築・改築住宅への設置義務化
  平成22年4月1日~  既存住宅への設置義務化
  平成18年6月1日~  新築・改築住宅への設置義務化
全国・改正消防法 平成23年6月1日~  既存住宅への設置義務化