全国各地では連日の猛暑により、熱中症による救急搬送が増加しています。熱中症は屋外のみならず室内においても発症する場合があり、最悪の場合には死に至る怖いものです。特に温度感覚が衰え、十分な水分補給ができていない高齢者に多くみられるようです。したがって、エアコン、扇風機などをうまく活用した室内温度の管理やこまめな水分の補給は欠かせないものとなります。当然、庭での作業やスポーツなどの屋外活動においても、気温が上がる日中は極力避け、早朝や夕方の時間帯で行い、十分な水分、塩分補給に心がけることはいうまでもありません。そして、熱中症と思われる症状(筋肉痛、脱力、頻脈、嘔吐、意識の混濁など)が出た場合は、速やかな119番通報により救急車を要請することが肝要です。
ところで、皆さんは#7119 という電話番号をご存じでしょうか。これは、平成19年(2007年)6月1日、東京消防庁をはじめ、東京都医師会、救急医療専門医、東京都福祉保健局によって「東京消防庁救急相談センター」が運用開始されましが、同センターへつながる電話番号なのです。この救急相談センターは、急な病気やケガをした時に「救急車を呼んだほうがいいか?」、「すぐに病院へ行ったほうがいいのか?」などと迷ったり、特に高齢者は救急車を呼ぶことをためらってしまうといった懸念もあることから、とりあえず電話で相談ができる窓口として設置されました。そして、同センターは相談医療チーム(医師、看護師、救急隊経験のある東京消防庁職員らで構成)が、一日24時間、年中無休で対応に当たっているものです。
もちろん、最初から119番通報によって救急車の要請を否定するものではありませんが、病院へ行ったほうがいいのか、救急車を呼んでも大丈夫か、といった疑問や迷いがあった場合には、躊躇することなく #7119 を利用されるようお勧めします。センター開設以来10年が経ち、本年4月現在でアクセス件数は約46万件とのことですが、地域住民の皆さんにはまだ十分に浸透していないとも感じられますので、本コラムにより改めて紹介をさせていただいた次第です。病気やケガで119番通報に迷った時には#7119 を思い出してください。
自主防災会アドバイザー 秋山 惠(東京消防庁OB・消防大学校客員教授)