コラム

No.10 都市型水害に備えて (2015.6.5)

 今年の5月後半は、例年にない暑い日が続き、早々と熱中症被害も報道されていました。エルニーニョ現象など、地球規模での自然環境の変化に伴う異常気象が起きているようです。


 6月に入ると梅雨の季節となり、夏から秋にかけては台風が襲来する時期を迎えます。そこで、この時期には消防機関をはじめ各防災機関により、大規模な水害を想定した水防訓練が毎年行われています。ところが近年、梅雨や台風の季節ではなくとも、ゲリラ豪雨、局地的大雨などにより、極めて短時間のうちに、限られた地域で大きな水害が発生してしまう事態がみられるようになりました。すなわち、必ずしも大きな河川からの浸水だけではなく、局地的な豪雨によって道路のマンホールが溢れたり、側溝から大量の水が流れ出して住宅やビルの地下に浸水したり、更には道路のアンダーパスに予想外の雨水が溜まり、車が走行不能となって、人々の生命にまで危険が及ぶような水災が時期に拘わらず発生しています。これらの災害は「都市型水害」と呼ばれるようになり、街中の新たな危険要因の一つとして警告されています。


 私どもの七国地区には大きな河川もなく、周辺地域よりは高台で、水害などには無縁で安全だと考えられる方も多いかと思います。しかしながら、気づかぬうちに側溝に大量の落ち葉が詰まっていたり、ビルトイン式車庫内の排水溝がごみや落ち葉で詰まっていたりしますと、一時に大量の降雨があった場合には、排水能力をオーバーし溜まった水によって住居部分に浸水被害が出ることも考えられます。また、ショッピング・センターなどの地下駐車場や道路のアンダーパス走行中に車が水没する被害に遭うことも想定されます。さらに、集中豪雨では丘陵地や造成地での土砂災害の可能性も考えられるところです。


 冒頭にも触れましたとおり、近年の気象状況をみると、まさに想定外の現象が起きています。かつての天候をはるかに超えた短時間豪雨をはじめ、台風の発生時期の早まりや発生数の増加、大規模な竜巻の発生など、これまでの気象現象の常識が大きく揺らいでいる現状です。そこで、自主防災会会員の皆さまには、七国地域は安心だと決して油断することなく、各住戸の排水設備や家屋周辺の側溝の確認、そして車で利用される機会が多い近隣のアンダーパスの状況などを、この時期に改めて確認してみてください。また、消防署所では水害に備え、ご家庭にあるものを利用した住宅への浸水防止方法などのアドバイスもしていますので、相談してみるのも良いかと思います。


 住民相互の日頃の協力をはじめ、八王子市、消防署・消防出張所、消防団などとの連携を密にして、たとえ風水害などの自然災害に見舞われても、その被害が極力少なく済むよう、準備やチェック、話合いをしておきたいものですね。


(自主防災会アドバイザー 秋山 惠)