コラム

No.5 救急車を呼んだのに、赤い車が? (2014.7.7)

ようやく世間でも知られてきたと思っていましたが、時々「救急車を要請したのに、サイレンを鳴らして大きな消防車が来てびっくりした。」という話しを耳にします。確かにかつては、「隣近所の人たちが火事だと思い飛び出して来た。」との苦情が、消防署に持ち込まれたことも多かったと思います。現在ではこのような話しも少なくなったようですが、七国4丁目の皆様にあらためてこの事情をご説明し、より迅速、確実な消防署の救急活動にご理解とご協力をいただければと思い、本コラムの話題に取り上げてみました。

 

東京消防庁では、平成12年4月1日から、順次、救急要請の内容に応じて、ポンプ車も救急現場に向かわせる活動を始めました。いわゆるP・A連携(ポンプ車の、救急車(アンビュランス)の)と呼ばれるものです。この施策の推進には、毎年、救急要請の増加が顕著になってきたという背景がありました。そのため、救急車が出払っている時の救急要請(特に心肺停止といった重篤な事象など)に、速やかに対応できるよう、「AED」を積載して、救急措置のできる消防隊員を乗せたポンプ車がまず現場に向かい、後着した救急車との連携により、適切な病院へ傷病者を搬送するという活動が行われるようになったのです。まさに「ファースト・エイド」(けがや急病に対して、医師による本格的な治療を受けるまでの間に行う一時的な処置)の理念に適うものでした。また、救急要請現場が多層階の建物で、階段により搬出をせざるを得ないものの、救急隊3名の隊員のみでは困難を来たす場合の支援をはじめ、繁華街で発生しがちな酔客による救急隊員への加害、妨害行為や救急車両への損壊行為などを排除できるメリットが認められるもので、現在では東京消防庁管内の東京都内全域で、通常の消防活動と変わることなくP・A連携活動が行われ、定着してきているところです。

 

皆様のご家庭でも、万が一、救急車を要請するような事態が発生した場合には、傷病者の意識の有無をはじめ、階段など傷病者の搬出経路に支障がないかどうかなど、簡潔に伝えていただければ、消防・救急活動もより早く、円滑にできるものと思います。

ちなみに、八王子市を含むいわゆる多摩地域からの119番通報は、全て立川市にある東京消防庁多摩指令室へつながりますので、七国四丁目からの119番通報も八王子消防署につながるのではありません。どうぞご注意ください。なお、東京23区内からの119番通報は、千代田区大手町の東京消防庁総合指令室へつながるようになっておりますので、併せて参考にしてください。

 

(追 記)

梅雨に入って以来、国内各地での集中豪雨や三鷹市周辺での大量の降雹、岩手県内での震度5弱の地震、更には7月初めとしては大型の台風発生など、日本国内ではこれまであまり体験したことのない自然災害が発生しています。天が今の日本の在り様に怒っているのでは、とも思ってしまう状況ですが、梅雨明け以降も猛暑や台風の襲来など、いろいろな災害が予想されるところです。こうした時こそ、地域の皆様の相互協力、結束が何よりも大切ですので、皆様ひとり一人のお力で被害の軽減を図ってまいりましょう。

 

(自主防災会アドバイザー 秋山 惠)