3月1日から7日までの間、全国的に「春の火災予防運動」が実施されます。この運動は、空気が乾燥し、暖かで強い南風が吹きやすく、ひとたび火災が発生すれば大火となりかねないこの時期に、市民の皆さんへ火災予防を呼びかけることを大きな目的としています。空気が乾燥し強風の下で発生した火災の怖さは、昨年12月22日に発生した新潟県糸魚川市での大火のニュースをご覧になって、皆さんが実感できたものと思います。暖房器具などは使用しない季節になりますが、決して安心することなく改めて各ご家庭での出火防止にご留意いただきたいところです。
ここで、昨年(平成28年中)の東京都内の火災概要が、東京消防庁から示されましたので、主な点をお知らせいたします。総火災件数は3,980件で、昭和35年(1960年)以降最少となったとのことです。前年(平成27年)と比較しても453件減少しており、数字的には良い傾向であったといえるでしょう。また、火災全体の約7割が建物火災で2,763件発生し、火災によって亡くなられた方は自損の14人を含め84人でした。一昨年の平成27年に比べて11人の減少となりました。
一方、出火原因につきましては、最も多かったものが「放火」で「放火の疑い」も含め877件の火災が発生しています。前年(平成27年)より150件減少したとのことですが、相変わらず火災原因のトップが「放火」という残念な結果となっています。八王子消防署管内でも143件の火災が発生、1,654平方メートルが焼損し、3人の方が亡くなっています。そして、火災原因の1位は「放火」、次いで「ガステーブル等」、「たばこ」と続いています。
このように、全国的にもいえることですが、火災原因のトップは「放火」となっています。こうした放火火災を防ぐため、折に触れて「七国四丁目自主防災会」の会員の方々が「巡回パトロール」を実施しているものの、基本的には各ご家庭で放火されない環境づくりをして自衛するしかありません。つまり、ゴミ出しは収集日の朝に出すことをはじめ、車・自転車等の保護カバーを不燃のものとするなど、不用意に可燃物を家の周囲へ放置しないよう、日頃から心配りすることが大切だと思います。
今回の「春の火災予防運動」では、東京消防庁の防火標語として、「火の始末油断しないで 最後まで」が掲げられています。各ご家庭のご家族一人ひとりが日頃より火災予防に心がける、そのような生活習慣を是非育てていってもらいたいものです。
自主防災会アドバイザー 秋山 惠(東京消防庁OB・消防大学校客員教授)